中部地方の浜を歩くShige Beachcomberの漂着物紹介

 波の打ち寄せる浜辺には、海流や風で運ばれた軽い漂流物が打ち上げられ、漂着物となります。またそれだけではなく、貝殻や捨てられた陶磁器、ガラス壜なども磨かれて打ち上げられます。海岸の中でも特に砂浜は漂着物が多く見つかります。日本の太平洋に面する愛知県の海岸や、日本海に面する福井県の海岸などで、拾い上げたり見つけた漂着物を中心に紹介します。

 

 浜辺に打ち上げられた漂着物を拾い集めたり、それらを加工して楽しむことをビーチコーミングと呼んでいます。これは浜辺を櫛けずるようにていねいに探すという意味の英語です。そんな漂着物愛好家を、ビーチコーマーと呼んでいます。ビーチコーミングという言葉は、2000年頃から日本で使われるようになりました。またその頃、九州で古くから漂着物研究をされていた石井忠氏を会長に漂着物学会が創設されました。私は石井先生を師と仰ぎ、これまでビーチコーミングを続けてきました。

 

 四面環海の日本では、漂着物の打ち上げられるシーズンがあります。このシーズンは風向きの影響を強く受けており、初夏から初秋にかけては南風に乗って太平洋側に多くの漂着物が打ち上げられます。逆に晩秋から冬にかけては北西の季節風が強まり、日本海側に多くの漂着物が打ち上げられます。

 

 打ち上げられる漂着物は、海由来のものばかりではありません。陸で捨てられたり、落ちたものが、河川を通って海に注ぎ込み、海を漂った後で漂着することも多く、浜辺の近くに河川があるとその影響も強いのです。陸で洪水などの災害がおきた後、災害由来の漂着物が一時的に見られることからも、それがわかります。

 

 今、私たちにとって浜辺はどれほど身近な場所でしょうか?ビーチコーマー、釣り人、サーファーなど一部の人にとっては身近な場所ですが、一般のみなさんにとっては、あまり身近ではないようです。福井県若狭町には鳥浜貝塚という縄文時代の遺跡があります。鳥浜貝塚の出土品には、ココヤシの加工品があり、縄文人は打ち上げられたココヤシを拾っていたと思われるので、立派なビーチコーマーだったようです。ほかにも打ち上げられた海草を田畑の肥料に施したり、かっての日本人には、海がもっと身近だったようです。ビーチコーミングを通して、より多くの人が海を身近に感じてもらえれば、うれしい限りです。

 

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