漂着物の工作 Crafts


 漂着物を使った工作やクラフト何て言うと、ちょっと難しく考えすぎていませんか?気に入った漂着物は、真水で洗って、しっかり乾かせば、そのままでも十分飾りになります。

 若狭の浜で拾ってきた鹿の角は、玄関のクリスマス飾りの骨格になりました。クリスマスカラーのフェルトや人形などのオーナメントを飾りつけたら、けっこういい感じになるでしょ。工作と言うと難しく考えがちですが、こうしたディスプレーや、標本も立派な工作になります。

ココヤシのフットライト


 ココヤシの漂流中に穿孔貝(せんこうがい)は、外果皮の中に棲み、穴を開けますが、内果皮を貫通することは稀で、内果皮の表面に丸い凹みをつける程度です。

 そんなココヤシの凹みサイズに合った数種類の穴をドリルであけ、照明器具を作ってみました。


ココヤシの器


 石井先生の著作に、「ココヤシを器にして飲むと、長生きする」とありました。そんなわけで、手ごろなココヤシが見つかると皮を剥き、硬い内果皮の部分をノコギリで半分に切断してみた。発芽孔の無い方を紙やすりで磨き上げ、発芽孔のある方を小さく削って3個つくり脚にしてみました。

 手前の小ぶりなものは杯にも良さそう、後ろの二つは、抹茶の茶碗にもなりそうです。

ココヤシの切断方法を紹介しましょう

●外果皮を剥ぎ、内果皮だけにします。この時、発芽孔に穴を空け果汁を出しておくと良いでしょう。

●切りたい場所にマーキングします。このとき私はビニールテープを一周させます。

●テープに沿ってノコギリでゆっくり内果皮を一周切り出します。

●白いココナツ部分を外せば、内果皮だけになります。


貝殻を使ったネックレース

 

 これは、南国のみやげ物などで見ることがありますね。美しいタカラガイや、アマオブネを使ったもの、それにプカシェルなんかが良く知られています。写真のものは、拾い集めた打ち上げ貝を、麻紐で結わえただけのシンプルなネックレースです。

 ここでは、割れたり磨耗して穴の空いた貝殻をメインに使っています。普通、割れた貝殻は拾われない方が多いようですが、工作の素材にはとっても使いやすいですよ。

 

ビーチグラスのクリスマスツリー

 

 拾い集めたビーチグラスが溜まったのでクリスマスツリーを作ってみました。

 作り方は、円錐にしたボール紙を台にして、その上からビーチグラスをグルーガンで接着していくのです。中に入れるライトはLEDを使いました。

 ツリーの頂には、星をつけ、ここにも裏側からLEDライトを点灯させきらめくイメージにしました。


 貝の雛飾り


 写真の左側はマクラガイを使ったもので、右側は丸っこいハツユキダカラの貝殻を使いました。台座に使ってあるのは平らな殻をもったコタマガイです。彩色にはアクリルガッシュを使い、マットな感じに仕上げました。乾くと水に溶けないアクリル絵の具はこうした工作に向いていますね。

 浜辺には、驚くほどきれいに磨かれた石ころが転がっていることがあります。「小さな石ころ、地球のかけら!」とは、誰が言ったか忘れてしまいましたが名言です。

 そのままでも十分美しいのですが、それにアクリル絵の具で、落書きしちゃいました。

 こうした作業、夏場には向きませんが、じっくり腰を落ち着けられる冬には最適です。


石絵


 石の形からインスパイアされた動物などの形をリアルに細かく描くスタイルもありますが、私の場合は、こうしたデフォルメしたやつが好みです。

 ここで使っている石は、円磨された海岸の扁平礫です。石は細粒砂岩と泥岩を選んでいます。表面の細かさは泥岩が一番ですが、絵の具が染込み難く、細粒砂岩の方が彩色しやすいものです。この石鯨は、口、目、それに腹の白い部分だけを彩色して、背の黒い部分は素材の色を生かしています。

 

期間限定・生臭いペーパーウエイト(笑)

 

 こんなモノを「クラフト」何て言ったら、思いっきりバカにされそうですが、それを承知で。クラフトなんだ~!って、声を大にしちゃいます。(笑)


 初夏から秋口にかけては、渥美半島表浜に、多くのカツオノエボシが漂着します。タイミングが良いと、真っ青な浮力体が動くような、活きの良いやつを見かけることもあります。そんな時がチャンス!!浮力体を扁平礫の上に載せて乾かせば、不思議なペーパーウエイトの出来上がりです。こうした文鎮は、カツオノエボシだけではなく、カツオノカンムリでも作れます。いつまでも使えるものではありませんが、半年ぐらいは使えるかも?(笑)

貝輪


 漂着物学会の研究発表で考古の研究者が、貝輪を「復元考古学」の一環で、当時の方法で作ることを提案されていました。素材にするのは殻の厚いベンケイガイ。これを石や鹿の角で叩いて真ん中から割っていき、縁の部分をリングに残す作業です。一番の難関は、ベンケイガイの貝柱部分が弱く、何度もこわしてしましました。ちなみにこの部位を「弁慶の泣き所」と言うとか!(笑)研磨を続けると、こんなに美しい貝輪ができましたよ。

漂着シートのカバン!


 トラックの幌をリサイクルしたフライターグと言うメーカーのカバンが一時流行しました。日本海側ではボンテンの目印にオレンジ色のシートが使われることがありました。フライターグのSurfside6というカバンから型紙をおこして、オレンジシートを使ったカバンを作ってみました。ミシンがかけられれば、およそ半日もあればできてしまいます。ストラップは好日山荘で求め、ワッペンはRSPBのアボセットを貼っておきました。

Tシャツのデザイン


 漂着物などを含んだ海の生物をモチーフにしてイラストを描き、それをもとにシルクスクリーン印刷でTシャツにプリントするのも楽しいですね。

 版は同じものでも、Tシャツの地色を変えて、インキもそれに合わせて違った色でプリントするだけで雰囲気が変わってきます。もちろん、プリントだけ業者さんにまかせる方法もあります。


フィギア再生

 

 まぁ、こんなものはクラフトとは呼べないかも知れませんが、お付き合いください。漂着した玩具やフィギアは、川や海を漂流し、波にもまれて、五体満足ではない状態で打ち上げられることがあります。そんな時にはちょっと修理してやれば復活することもあります。ソフビ素地など、曲がっていたときは力まかせにやらず、熱いお湯に浸けるだけでもかなり復活します。

 詳しい再生の手順はこちらへ

フィールド・サークル

 

 これは美浜町の水晶浜でビーチコーミング講座をやったときのスナップです。このサークルには、参加人数分の流木を立てて円をつくりました。

 そしてビーチコーミングのまとめの時間に、みなさんが拾われた「お気に入り漂着物」を流木の前に置いてもらい、漂着物の説明やコメントをさせてもらいました。こうしたサークルを作っておけば、参加者が多くても、一点に集中せず、取り囲んで見てもらうことができます。

フィールド・サークルⅡ

 

 美浜町の水晶浜で見つけた流木などの漂着物を円形に並べて立ててみました。

 中央には太めの流木と黒い結束プラ具、周囲には細めの流木などなど。直径が3mほどの小さなものですが、浜辺で作り上げると楽しいものです。漂着物の少ない時のお楽しみにいかが?

スケッチなどなど


 デジカメの普及した今は、記録写真一枚あたりの単価はグッと安くなり、いくら枚数を撮影してもお金の心配は要らなくなりました。

 写真でも事足りることが多いのですが、昔からの習慣で記録にはスケッチを多用しています。フィールドノートの記録に写真が加わればまず大丈夫です。フィールドで学ぶ基本は、記憶ではなく、記録ですね。

モビール

 

 アメリカの彫刻家アレキサンダー・カルダーによって広められたモビールは、立体的な「やじろべい」で、吊り下げたりしてバランスをとります。

 

 きれいにバランスをとられたモビールは、弱い風によって動くことも可能で、作り方によっては複雑な動きを楽しむこともできます。

 

 漂着物を素材にして作る場合、自然物だけではなく人工物のプラスチック製品やプラスチック片なども使い方によって効果的な素材になります。

 

 実際の制作にあたっては、下から上にという順で作るとバランスをとるのが難しくありません。

 


貝殻シーサー

 

 浜辺に打ち上げられた様々な貝殻を使って、沖縄の魔除けシーサーを作ってみました。素材はヤツシロガイ、ウズラミヤシロ、カニモリガイ、メダカラガイ、ベンケイガイ、タテスジホオズキガイなど。

 接着にはグルーガンで溶かしたホットボンドを使っています。固着までに時間のかからないホットボンドはワークショップなどでは便利に使えますね。